家庭教師専門の求人サイト「家庭教師アルバイト一括登録ナビ」では、シーズンごとに、家庭教師の求人市場の概況に関するレポートを公開しています。今回は2023年夏版です。
家庭教師の求人市場の概況
家庭教師は密室での指導となるため、塾講師など他のバイトに比べてコロナの影響を大きく受けてきましたが、マスク着用の緩和などにより、前年に比べると求人市場が盛りかえしてきたように思われます。一方で、求人ニーズの伸びをはるかに上回るペースで求人広告の競争激化が進んでいます。
求人広告の伸びに対して求人ニーズが追い付かない理由として、コロナ前とコロナ後では大きく「家庭教師の仕事」に対するイメージが変わったことがあげられます。コロナ前は「家庭教師=高時給」というイメージでしたが、今の大学生にとって「家庭教師」は「高時給なバイト」「魅力的なバイト」とは言えなくなってきているようです。
ここ数年の人件費高で飲食バイトでも都心部では1200円程度の時給が定着していることから、(移動に時間がかかり短時間しかできない)家庭教師業界の平均時給が1500円~1700円程度となっている現状では、コロナ前のように家庭教師や塾講師に「高時給」を求めて多くの大学生が登録してくるという状況にはないように思えます。
WEB求人広告の競争激化
グーグルやヤフーなどのWEB広告において「家庭教師」の求人広告の競争激化が続いています。昨年まで広告を出していなかった会社が新たに出稿するケースが続いており、広告単価は上昇する一方となっています。
特に以下のような「グレー」な塾関係による「家庭教師の求人広告」の出稿が目立って増えております。
(1)家庭教師派遣は殆ど行っていないにも関わらず個別指導塾の講師を集めるために「高時給の家庭教師の求人」を「餌」にして講師を集める個別指導塾チェーン
(2)(実際には殆どない)「時給2700円」などの高時給の家庭教師求人を「餌」にして登録者を集め、(低時給の)個別指導塾講師の求人に誘導する塾講師求人サイトの運営会社
飲食や接客のアルバイトの時給が高騰しているなか、「塾講師」の求人が相対的に時給面で魅力が乏しくなり、「塾講師」の求人広告だけでは十分に講師を確保できなくなったことが背景にあると思われます。
オンライン家庭教師のニーズの変化
検索エンジンやSNSなどにおいて、「オンライン家庭教師」関連のキーワードの検索数が大きく減っていることがここ数か月の顕著な動きとして挙げられます。
ここ数か月は、コロナの感染者数が落ち着いており、「オンライン家庭教師」への求人ニーズは大きく減退し、「対面指導」のニーズが戻ってきています。
コロナの感染者数が増えてきた場合、昨年までのように「オンライン家庭教師」のニーズが高まるか否かが注目されます。